セルの結合ではデータの加工・集計がうまくできないことが多い
セルを結合する機能は、かなり以前のバージョンから実装されていたような気がします。少なくとも最近のバージョンからある機能ではないですね。
これは見方を変えると、(かなり以前から残された機能であるこということは)セルの結合は利便性が高い機能とも言えますよね。
しかし、実際のところ、このセルの結合を好まない方もいらっしゃるんですね。
後述しますが、私もデータの加工を行うような表では、できるだけ避けてほしいという部分もあります。
セルの結合自体はExcel方眼紙のような使い方では非常に重宝します。
つまりこの機能自体がNGというわけではないのですね。
ただ、上記で触れたようにデータの加工や集計などのときにはネガティブな作業が発生してしまうのです。さらには予期せぬ結果も招きます。気づかぬうちにこれにやられると、ちょっとイタイですね・・
では、「データの加工や集計のどういうときにセルの結合の何がよろしくないのか」についてまとめたいと思います。
(Excel方眼紙ほどではないですが好かれてない一面も分かりますね・・・)
セルの結合についてのおさらい
まず、馴染みない方がいらっしゃると以降の意味もわかりにくくなると思います。
そこで、「セルの結合とはなんぞや」という点についてさらっと説明したいと思います。
セルの結合とは文字通り、「複数のセルを1つにまとめる(結合する)」機能です。
互いに離れたセルは結合できませんが、隣接するセル同士ならば結合ができます。
同じ値ならば1つにまとめた方が見やすいですからね。
さらにセル同士を結合することにより罫線が変わりますね。
これはセルが結合されていることの目印にもなりますね。
同じデータなどを1つにまとめて表示できることは、見た目的にはかなりスッキリですね。
無駄な重複がなくて見やすいと思います。
つまりセルの結合とは、個人的には、見た目重視の機能に考えています。
しかし皮肉にもセル結合のある表は、Excelの機能を十分に使えない、または使いづらいということが起こってしまいます。
それでは、以下にその例を示しつつ説明したいと思います。
セルの結合があると、オートフィルタがおかしくなる
オートフィルタは表との相性が抜群です。
(というか、表以外に使える方法はあるんでしょうかね、、)
このオートフィルタですが、対象となる表にセルの結合が含まれているとよろしくない事象が発生してしまいます。
下記の表は前項の内容です。
ここにオートフィルタを設定しています。
ここで「阿部」さんのデータのみを表示したいと思います。
すると、この状態で選択された「他の項目(年月と売上のセル)」は影響を受けます。
「阿部」さんのデータを抽出した後、他の項目にあるはずの値が表示されません。「2月」や「3月」が選択できないのですね。
これはそもそも存在していないように見えてしまうところに問題があると思います。
なお、予想通りの結果にするにはセルの結合を解除(このページでは「セルの結合前」の状態に)すれば大丈夫ですね。
セルの結合があると、関数・数式がおかしくなる
そしてこちらの問題も厄介です。
Excelの定番である関数や数式もセルの結合があると正しく動作しないケースがあります。
複雑な式を使わずとも簡単な数式でどうなるか分かります。
その結果、以下のようになります。
この結果から分かることは、B列の値[B4、B5、B7、B8]を見る(参照する)関数・数式を使うと、予期しない(計算)結果が返ってくるということです。
どうもセルの結合は、Excel内でセルのアドレスの管理が特殊になっているようです。
オートフィルタのときもそうですが、セルの結合をしている「結合された大きなセル」は、最も左上のセルに値が入力されているとみなすようです。
(Excelがそう判断するということですね)
いずれにしてもセルの結合が警告なしに想定しない結果を返すことには要注意ですね。
これはイタさを越えてリスクになってしまいます。
セルの結合があると、並び替えができない
これは上記2点と比べてまだ救われると思うのですね。というのも「できません」というエラーメッセージが表示されるからです。つまり「Excelが教えてくれる」わけです。
セルの結合された表では、その他にもコピペ作業が大変だったりします。
まとめ 「気づけないあたなが悪い」のか?
このようにセルの結合は至るところで使うケースがあると、正しい結果を導けない場合があります。
なぜできないのか・・これは一般的には「そうなるべくしてなったのだ」・・つまり「Excelの仕様だから」ということになるのだと思います。
エラーが表示されない事例では、もし扱うデータ量が少なければ、目視で気づけるかもしれません。しかし画面のずっと下や横にスクロールしていくような大きい表(データ)には、気付ける余地が少なくなります。
「気づけないあたなが悪い」
個人的にはこの言葉はちょっと酷に思えてしまいます・・
ただ、表にはいろいろな形があり得るわけで、一つの言葉で括るのも難しいと思います。
例えば、表のタイトルとして一行目に結合して入れる程度なら問題ないですが、表の中にセルの結合があると表の形と作業内容によっては手直し必死となります。
TPOというと大げさですが、セルの結合を利用しても影響を与えない位置(データの集計対象ではない部分など)というのを押さえながら使うとベターであると思います。